フリーランスも源泉徴収される?確定申告前に知りたい知識&手続き
会社員時代なら、会社にまるっとお任せすればよかった「税金」。フリーランスになって初めて「フリーランスも源泉徴収されるの?」と不安・焦りを感じた人も多いのでは?
また、確定申告書の提出の際に必要だった源泉徴収票が、2019年4月1日以降は添付不要になったというニュースも。とはいえ、申告をする際に使う資料であることには変わりありません。
そこで今回は、フリーランスが知っておきたい「源泉徴収」について、会社員との違いや源泉徴収票の見方、確定申告前に気をつけたいポイントを紹介します!
※本記事は、2019年5月時点のものです。最新情報については、国税庁HPをご確認ください。
源泉徴収について知ろう
「源泉徴収」とは?
そもそも「源泉徴収」とはどういうことなのでしょうか。
源泉徴収とは、給与を支払う会社などが給与から税金を差し引くことで、本来個人が支払う税金をその人にかわってあらかじめ納税する制度のこと。
会社や個人が、人を雇って給与を支払ったり、税理士、弁護士、司法書士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度支払金額に応じた所得税及び復興特別所得税を差し引くことになっています。
そして、差し引いた所得税及び復興特別所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月の10日までに国に納めなければなりません。
(国税庁HPより引用)
会社員でいうと、毎月の給与から所得税と住民税が天引きされているのが、源泉徴収にあたります。
フリーランスの場合は自ら「確定申告」をする必要がありますが、会社員の場合、何もしなくても「年末調整」によって払いすぎた税金は還付金として返ってくる仕組みになっています。
「源泉徴収票」とは?
会社員経験者には年末調整でおなじみの「源泉徴収票」。給与からいくら税金(所得税)が引かれているのかがわかります。
一方で、フリーランスは会社員とは違い「年末調整」をしてもらえません。そのため、自分で確定申告をして税金を納める必要があるのです。
源泉徴収を正しく理解するためにも、フリーランスになる前に源泉徴収票の見方をおさらいしておきましょう!
税率と控除額は、以下の表を参考にしてくださいね。
課税所得 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
※2019年5月時点。最新情報については、国税庁HPをご確認ください。
フリーランスは源泉徴収される?されない?
年末調整で納税手続きを会社に丸投げできる会社員に対し、確定申告で税金を納める必要があるフリーランス。
そんなフリーランスでも、源泉徴収される場合があるのです。個人が報酬を受ける場合、以下に該当する仕事は源泉徴収の対象となっています。
【源泉徴収の対象となる範囲】
- 原稿料や講演料など
- 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
- 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
- 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
- ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
- プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
- 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
ただし、懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
(国税庁HPより引用)
このように、フリーランスといっても仕事内容によって源泉徴収される仕事とされない仕事があるので注意しましょう。
自分が源泉徴収されているかされてないか判断するには、「報酬金額」と「実際の入金金額」を照らし合わせるようにしましょう。
もし「入金金額が少ない……!」と思ったら、源泉徴収されているかもしれません。
いくら引かれる?フリーランスの源泉徴収の計算方法
源泉徴収される額は、給与と報酬、さらにその金額によって変わります。
例えば、フリーランスが会社からもらう「報酬」では、源泉徴収額は次のように定められています。
源泉徴収税額 = 支払金額 × 10.21%
※100万円以下の場合。職種によって変わる場合あり
支払い元の会社によっては、請求書に源泉徴収額が記載されているところもあるようですが、そうでない会社も少なくありません。もし報酬の1割ほどが引かれて入金されていたら、源泉徴収されている可能性アリ。入金金額をよくチェックしてくださいね!
還付金が戻ってくる!? 確定申告で必要な源泉徴収の手続き
フリーランスで源泉徴収によって引かれすぎた税金(所得税)が戻ってくる手続きこそ、「確定申告」です。
確定申告の前に気をつけたいポイントは?
確定申告前にやっておきたいのは、会計ソフトや帳簿で源泉徴収された金額を記録しておくことと、(可能であれば)「支払調書」をもらうこと。
フリーランスの場合、年末に報酬を支払う会社からもらえる「支払調書」というものがあります。これは会社員の「源泉徴収票」にあたるもので、報酬金額や源泉徴収税額などが記載されています。
しかし、会社は支払者に送付する義務があるわけではないので、必ずしも「支払調書」をもらえるとは限りません。
還付のチャンスを逃さず、損をしないためにも、日常的に報酬と源泉徴収額をきちんと管理・記録することをおすすめします。
確定申告で必要となる具体的な手続きとしては、確定申告の申告書Bの「所得税及び復興特別消費税の源泉徴収税額」欄に、源泉徴収済金額の合計を記入する決まりとなっています。
源泉徴収で損しないためにも、フリーランスならこまめに記帳を!
会社員時代と変わらず源泉徴収される仕事もありながら、自分で申告する必要があるのがフリーランスです。
確定申告で損をしないためにも、源泉徴収についてしっかり理解を深めておいてくださいね!