弁護士や税理士などの士業の独立開業にシェアオフィス
シェアオフィスは以前から、個人起業家や、弁護士や税理士、会計士など士業の方を中心に利用されてきました。士業専門など同業者だけで集まっているシェアオフィスもあれば、異業種交流を促進しているシェアオフィスもあります。近年では、好立地や洗練された内装デザインを売りにするシェアオフィスが次々に登場し、ますます注目を集めています。
ここでは士業で独立開業を考えている方に、シェアオフィスを利用することでどんなメリットが得られるのか、また注意点は何かを詳しく解説します。
最初は小さく始めてリスクを抑える
士業を開業しようと考えたらまず、自分の業務形態を考えてみましょう。
士業で開業といえば、まず賃貸オフィスを借りようと考える人も多いかもしれません。 しかしオフィス用の賃貸物件を借りると、まず大きな出費として賃貸物件の敷金が発生します。オフィス物件の場合、敷金は家賃の6~12か月分が相場となっており、それだけでもかなりまとまったお金が必要になります。
そのほか、内装工事をしたり、会議スペースを確保するためのパーテーションを設置したりするなどの工程が必要な場合があります。
さらにオフィスに必要な設備として、社員のデスクやPC、コピー機などのOA機器、応接用の家具、IT環境の構築、カーテンやブラインドなどのエクステリア、来客用のお茶の用意、文房具類など、大小様々なものが積み重なり、結果的に莫大な資金が必要になります。
もし、個人や少ない人数で始めるなら、最初からそこまで大掛かりなオフィスは必要でしょうか?
例えば、扱う業務によっては面談や手続きなどで外出が多く、オフィスにいる時間が1日1~2時間、なんて士業の方もいるでしょう。その1~2時間のために家賃の高い賃貸オフィスはなんだかもったいなくありませんか?
そんな方におすすめしたいのが、シェアオフィスの活用です。
シェアオフィスの活用で開業費用を大幅にカット!
複数の企業、個人事業者などが一つのオフィスを共有するシェアオフィスを活用すれば、上述したような開業にかかる費用を大幅に削減することができます。
敷金不要!毎月のレンタル料だけでOK
シェアオフィスを借りる場合、賃貸物件のような敷金が発生しません。(保証金が必要な施設は多くあります)毎月のレンタル料を支払うだけで開業できます。賃貸スペースも2席のみ、10席などと必要な席数を区切って借りることができるので無駄がありません。
インターネットの接続環境は整っており、コピー機などのOA機器は共有、ウォーターサーバー、コーヒーメーカーなどの利用もレンタル料に含まれていることが多いので余計な費用が発生しません。
スピーディーな開業が可能
毎月のレンタル料さえ支払えば、あとはPCを持ち込むだけで仕事が始められます。内装を整えたり、設備や備品を発注する手間もないので、スピーディーに営業をスタートさせられます。開業にかかる費用だけでなく、準備にかかる時間も大幅に削減できるので、仕事を軌道に乗せることだけに集中できそうです。
個室会議室や打合せやセミナースペースも利用可能
士業を開業する場合、プライバシーに配慮して話せるスペースが必要になるため、様々な会社の人が共有するシェアオフィスでは少し心配…、と思う方もいるかも知れませんが、多くのシェアオフィスに個室の会議室が用意されています。
予約制・時間制で使用できるので、来客の予定に合わせて予約しておけば、機密性の高い打合せや、プライバシーに関わる話も安心してできます。
会議室とは別にオープンな打合せスペースがあることも多く、社内の打合せなどに活用できます。
また、プロジェクターやマイクなどを備えたセミナールームのような施設があるシェアオフィスでは、人を集めて相談会や説明会なども行えます。
便利な場所に事務所を借りられる
開業費用を抑えるために、自宅をオフィスとして使う、賃料の安い郊外に事務所を構えるなどの方法もありますが、この場合アクセスが悪いため集客につながらないなどのデメリットが発生します。
その点シェアオフィスは、都内であれば、東京、新宿、銀座、日本橋など、大企業が集まるビジネスの中心地、地方でもターミナル駅のすぐそばなどアクセスの良い場所にあるケースが多いです。
立地の良さは、顧客からの信頼度をアップさせることにつながりますし、アクセスがよいことで集客にも結びつきます。結果として優良な顧客が獲得できます。
また、税務署、裁判所、市役所、法務局、入国管理局など、業務上よく通う場所のそばに シェアオフィスがあるなら、そんな場所を借りるのも業務の効率化につながりますね。
スタッフが受付対応してくれるサービスも
専任スタッフが常駐する受付スペースが設置されているシェアオフィスもあります。事前に来客予定を受付スタッフに伝えておくと、来客時の対応をして待合スペースまで誘導してくれます。出先からの戻りが遅れても、受付スタッフがいることで安心できます。
シェアオフィスに訪れるのが初めての顧客に対しても、受付スタッフが案内をしてくれることで、きちんとしたした会社なんだなという安心感を与えることもできます。
電話秘書代行サービスも利用できる
独立開業したばかりでは、スタッフを雇えずに何から何まで自分でやらなければいけないという士業の方もいると思います。打合せや外出も多いとなると、電話対応まで自分でやるのは大変だと思います。
シェアオフィスでは電話秘書代行サービスを行っているところも多くあります。自社の電話番号を登録すると、専任担当者が自社のスタッフとして電話に対応し、要件を聞いてくれます。
不要な営業などの電話対応に煩わされることなく仕事に集中できるうえ、外出時や打合せ中でも、新規依頼や顧客への対応ができるので、集客のチャンスを逃すことがないうえ、顧客からの信頼感もアップします。
自社スタッフの人件費を抑えられるというメリットもあります。
注意点
コストを抑えられ、とても便利に使えるシェアオフィスですが、ここをオフィスとして使おうと考えるなら、機密情報を扱う士業の人は特に気をつけなければいけない点もあります。
電話業務
顧客とはインターネット上やメールでのやり取りが多く、日に何度か問い合わせの電話や来客がある、という程度ならシェアオフィスの受付や秘書代行サービスなどは役に立ちます。
しかし、電話で何時間も相談に乗らなければならない、電話の内容を人に聞かれてはいけない、という仕事内容なら、みんなで仕事場を共有しているシェアオフィスというのは向きません。
この場合は1、個室スペースを借りられるシェアオフィスがいいでしょう。
機密情報
そこまで電話応対のない仕事内容でも、士業の方は普通機密情報を扱っていることが多いはずです。書類をみんながいるオープンスペースに置きっぱなしにしない、コピーをしたときに取り忘れない、パソコンの画面は人から見えないようにする等対策が必要です。
そして書類などは少しの外出の際にも鍵のかかる金庫やロッカーに預けるようにしましょう。
士業の方が多く入られているシェアオフィスなどでは、この機密情報の取扱いも面倒なくできるような対策がとられている所もあります。
まとめ
シェアオフィスは士業の方が独立開業にも利用できるということがおわかりいただけましたでしょうか。
低コストで一等地にオフィスを置くことができる、受付、電話などの対応、清掃などの管理を一任できるなど数多くのメリットがあり、開業にかかる費用だけでなく、維持管理の手間や人件費も抑えることができます。
いずれは自分の事務所を構えてスタッフを増やしていきたいと考えている方も、独立開業の一歩として、シェアオフィスを活用してみてはいかがでしょうか。
士業専門のシェアオフィスでは横のつながりもできますし、異業種交流を促進しているシェアオフィスでは、ビジネスチャンスに出会えることもあるかもしれません。