
平成27年より東京都及び公益財団法人東京中小業振興公社では、都内で起業する創業者を対象に「創業助成事業」を行っています。都内で創業を検討している方、または創業して間もない方はこうした助成金を積極的に活用したいものです。
しかし、この助成金は都内で起業すればだれでも受けられるものではなく、一定の基準を満たした個人または法人に対して支払われます。
ここでは、創造助成事業の概要と、助成対象となる基準、助成内容と受け取るまでの流れについて詳しく解説します。
創業助成事業の概要
平成28年度の都内開業率は6%と、米国・英国と比較して低い傾向にあります。 そこで、東京都と公益財団法人東京中小企業振興公社が創業予定の個人または創設まもない法人に対して創業初期に発生する経費を一定の基準まで助成金を支払い、創業の活性化を目指すことを目的に制度化されました。
これは、都内で開業予定の個人または開業して間もない法人の中でも雇用率ならびに開業率の向上を期待して助成金が支払われるものです。
創業助成事業は東京都と公益財団法人東京中小企業振興公社が運営している助成金制度ですが、東京都区内でも独自に補助金の支給制度を設けているところがあります。
例えば、港区では開業賃料の一部補助や勉強会の開催、中央区では経営相談や起業家塾を開設して創業支援事業を行っています。
開業している(または開業予定のある)市区町村がどのような創業支援を行っているのかホームページなどで確認してみると良いでしょう。

助成を受けるための条件
創造助成事業は、次の事業者が助成の対象となります。
1.東京都内で創業
東京都内での創業活性化を目的とした制度のため、都内で起業していることが条件となります。
・都内で創業した個人事業主
・都内で法人登記した法人
・都内で創業予定の個人
なお、助成を受けている個人および個人事業主は、助成期間対象中に法人化することは禁止されています。
2.創業から5年未満
個人事業主なら開業届を提出したときから、法人なら法人登記をしたときから5年以内の事業者が助成対象の条件となります。
なお、個人事業主が法人成りした場合は、個人事業主としての開業届を提出してから5年未満が対象となります。
3.中小企業
「みなし大企業」や「個人開業医」でない中小企業を対象としています。
資本金の額や出資額の総額、常時使用する従業員の数など、どのくらいの規模が中小企業として認められるには業種によって異なるため、詳しくは「創業助成事業【募集要項】」をご確認ください。
http://www.tokyo-kosha.or.jp/station/services/sogyokassei/pdf/30_2_sogyojosei_11_bosyu.pdf
4.特定の創業支援事業を利用した方
創業助成事業を申請する前に、ほかの創業事業支援を受けたことがあり、尚且つ申請要件確認資料の提出が可能な方が対象となります。
例として、
・東京都が出資するベンチャー企業向けファンドからの出資等を受けている方
・政策金融機関の資本性劣後ローン(創業)を利用している方
・都内区市町村が実施する中小企業制度融資のうち、創業者を対象とした東京信用保証協会の保証付き制度融資を利用している方
などがあります。
http://www.tokyo-kosha.or.jp/station/services/sogyokassei/youken.html

助成期間と対象経費
助成を受けられる機関と対象となる経費は厳密に決められています。
助成期間
採択された日から最短で1年間、最長で2年間が対象期間で、自由に設定することができます。この期間にかかった経費について助成金の支給が受けられます。
助成限度額
助成限度額は上限額で300万円、下限額で100万円です。対象経費から助成率である3分の2を乗じた金額が支払われます。
助成金申請額は、申請前に計算する必要があります。例えば、助成対象経費が360万円の場合、助成率の3分の2を乗じて助成金申請額は240万円となります。
助成対象となる経費
助成対象となる経費は、申請した事業を実施するために必要な最小限の経費が対象です。具体的には、従業員人件費、賃借料、専門家謝金、広告費、備品費などがあります。
これらの対象となる経費の中でも、例外的に対象とならないものがあります。
例えば、人件費の中でも、時間外労働や休日労働に対する賃金・手当、社会保険料、労働保険料等の法定福利費は助成の対象外です。また、賃借料は火災保険料、地震保険料、バーチャルオフィスの利用料なども対象外となります。その他、広告費や備品費についても対象外となる項目があるので、詳しくは公社ホームページの募集要項からご確認ください。
助成対象経費の算出方法
助成金申請額は、「従業員人件費」と、それ以外の経費である「事業費」の2種類に区分され、それぞれに3分の2を乗じて支払われます。
先ほどの例で考えてみましょう。助成対象経費360万円のうち、区分ごとに内訳をみると、次のような金額が算出されたとします。
例:経費
経費区分 | 従業員人件費 / 事業費 |
---|---|
経費明細 | 従業員人件費 / 賃貸料,専門家謝金,広告費,備品費 |
必要な経費 | 150万円 / 100万円,30万円,50万円,30万円 |
助成申請額 | 150万円×3分の2=100万円 / (100万円+30万円+50万円)×3分の2=140万円 |
このように、経費区分ごとに費用を算出してそれぞれに3分の2を乗じて助成金額を決定するので、従業員人件費のみを助成対象経費として申請することはできません。
創業助成事業の申請から受け取りまでの流れ
① 申請書作成
創業助成事業の申請用紙は公社ホームページからダウンロードできます。
② 申請書提出
指定の期日内に簡易書留、一般書留、レターパックプラス(赤色)のいずれかの方法で公社宛てに郵送します。これ以外の方法で送付された申請書や受付期間外の消印で郵送された申請書はいずれも受け付け不可となります。
それと同時にWEB上の登録フォームより申請書に記載したものと同じ内容を登録します。公社ホームページ内にある「WEB事前登録」から登録できます。
③ 書類選考
申請書に基づき、書類審査が行われます。
④ 面接
書類審査を通過した申請者は面接を行います。面接ができるのは、代表者(申請者)本人1名または共同経営の場合は2名までで、代表者以外の方はできません。
⑤ 交付決定
審査の結果にかかわらず書面で通知されます。
⑥ 事業支援
助成期間中は、完了報告に備えて支払経費の書類を保管しておきましょう。
⑦ 完了報告
支払経費の証拠書類を公社に提出すると、正しく経費が使われているかどうか検査が行われます。
⑧ 助成金交付(支払)
助成対象と認められた経費をもとに助成金額を算出し助成金が支払われます。
⑨ 継続的支援
助成金の交付を受けた後の5年間、助成事業にかかわる事業化の実施状況について「企業化状況報告書」を作成し、提出する義務があります。これにより助成期間終了後も公社から継続的なサポートが受けられます。
まとめ
創業助成事業は、東京都における創業のモデルケースを発掘し、事例を発信することで、創業に挑戦しようとする機運を高めることを目的としています。厳格な審査を通過するためにはスタートアップの活性化、ならびに雇用率の上昇、東京都内の産業活性化を期待できる事業であることが大切になってきます。
資金繰りが難しいとされるスタートアップ企業にとって、こうした助成金による支援は事業を軌道に乗せるのに役に立つことでしょう。ぜひ活用してみてください。

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