
フリーランスならば必ず通る確定申告の手続き。確定申告の定義、青色申告や白色申告の違い、確定申告の方法から節税のポイント、コワーキングスペース利用料の経費処理までご紹介します。
確定申告とは
フリーランスが行う確定申告は、簡単に言えば、「年間の収入及び支出、利益を算出して、それに応じた税金を支払う」ことを税務署に証明するための書類です。基本的に企業で勤務している場合には、確定申告は不要。会社が本人に代わって所得や経費を「年末調整」として申告しているためです。ただし、複数の勤務先を持っていたり、副業をしていたりすれば、確定申告の必要性も出てきます。
所得38万円以上で確定申告が必要
フリーランスでも「所得金額」が38万円以下であれば、確定申告をする必要はありません。これは、基礎控除額38万円が全員に適用され、所得税が発生しないからです。所得は、「(売上)―(経費)」で計算されます。例えば、カメラマンが写真撮影をして年間50万円の売上を得たとします。経費に、交通費や機材費、通信費などを含む10万円がかかったとします。所得は、売上から経費を差し引いた40万円で計算します。さらに社会保険料や生命保険料の支払いを経費として計算して、所得が38万円以下になれば、確定申告は不要です。
申告しないと無申告加算税の支払いも
申告の必要性があるにも関わらず、申告しなかった場合には無申告加算税を課せられます。無申告加算税は、申告に対する態度や納付金額によって課税率が変わります。期限後、自主的に申告した場合には納税額の5%、税務署から指摘された場合には50万円以下が15%、50万円以上では20%を加算されます。さらに、意図的に納税を逃れようとした場合には、「重加算税」で40%をペナルティとして課せられます。マイナンバー制度の導入により、個人の取引データをマイナンバーに紐づけて管理されていれば、最終的に税務署へバレてしまいます。必ず期限内に確定申告をしておきましょう。
青色申告と白色申告の違い
節税につながる3種類の控除額
フリーランスの確定申告は、3種類から選べます。その違いは、控除金額。青色申告(10万円控除)、青色申告(65万円控除)、白色申告控除なしから選べます。青色申告では、基礎控除額38万円に加え、10万円または65万円の控除を受けられます。当然、青色申告(65万円控除)のメリットが大きくなりますが、会計の複雑性から手間も大きくなってきます。
3種類の確定申告
白色申告 / 青色申告(10万円) / 青色申告(65万円) | |
特別控除 | なし / 10万円 / 65万円 |
決算書 | 収支内訳書 / 損益計算書 / 損益計算書,貸借対照表 |
記載方法 | 簡易簿記 / 簡易簿記 / 複式簿記 |
専従者給与 | 配偶者最大86万円,配偶者以外最大50万円 / 金額制限なし / 金額制限なし |
赤字の繰越し | なし / あり / あり |
赤字のフリーランスにおすすめの青色申告
1~3年目で事業が赤字になる可能性のあるフリーランスにおすすめなのは、青色申告です。青色申告は、3年間赤字の繰越しができるからです。例えば、1期目に150万円の赤字、2期目に30万円の黒字、3期目に50万円の黒字、4期目に70万円の黒字となった場合、1期目の赤字を繰り越して、2~4期目の黒字と相殺することができます。赤字を相殺することができれば、納付金額を減らすこともできるのでおすすめです。
所得税の還付金
収入に対する経費金額や控除額によっては、源泉徴収税で収めている金額が所得税を上回り、所得税を納め過ぎていることもあります。納め過ぎた税金の還付を求める手続きを「還付申告」といいます。取引先から支払いを受ける際に、源泉所得税として所得税を既に納めて納税を終えていれば、還付申告せず還付金を受け取らないという選択をしても構いません。ちなみに、最大5年間まで遡って申告を行い、還付金を受け取れます。
確定申告の準備・やり方
確定申告に必要な書類
確定申告に必要な書類は、税務署で受け取れるものと自分で準備するものがあります。
税務署で受け取るもの
・確定申告書A(給与所得者・年金所得者)
・確定申告書B(個人事業主・分離課税対象の所得のある方)
フリーランスであれば、基本的に確定申告書Bを受け取りましょう。所得が赤字になっていれば、「損失申告用」の書類も受け取ります。これらの書類は、税務署の窓口で受け取るか、税務署ホームページでダウンロードできます。
自分で準備するもの
・源泉徴収票
・経費の領収書
・決算書の明細書、計算書
・収支内訳書の明細書、計算書
・登記簿謄本(登記事項証明書)
・住民票
・マイナンバーカード(または通知書)
・医療費控除等の証明書(必要者のみ)
源泉徴収票は、基本的に取引先から送付してもらえますが、早めに依頼しておくとスムーズに受け取れます。登記簿謄本(登録事項証明書)は、法務局(登記所)で1通600円の手数料を支払って取得できます。取得に特別な書類は不要ですが、物件の情報を用意しておくといいでしょう。
収入を計算する
2019年度分の収入を計算する場合、2019年1月1日~12月31日までの収入金額をまとめます。取引先ごとに年間売上の合計金額を「所得の内訳(所得税及び復興特別税所得税の源泉徴収税額)」の4つの欄に記入します。取引金額の多い順に主要取引先4社を企業名付きで記入し、5社目以降は合計「上記以外の売上先の計」に記入します。
節税を意識した経費計算
事業経費に必要な書類は、レシートや領収書、出金伝票のいずれかです。レシートがあれば、手書きの領収書を受け取る必要はありません。レシートや領収書を受け取れない場合には、出金伝票で対応します。前述の通り、所得は「(売上)―(経費)」で計算します。売上に対する経費が増えれば増えるほど、所得は少なくなります。そのため、経費に換算できるものはすべて経費で計上すると節税につながります。
個人事業主として支払った費用のどこまでが、経費の対象となるかの判断は難しいでしょう。フリーランスであれば、生活と仕事で併用している費用もあるはずです。例えば、スマートフォンなどの通信費や家賃、水道光熱費などを、使用時間や面積などの割合に応じて、仕事の経費へ充てられます。
一方でフリーランスが経費にできないのは、個人・家庭で使うもの、家族や親族への支払い、敷金、単価10万円以上もの、罰金や罰則金、金融機関からの借入金の元金、住宅ローンの元本などです。
期日までに税務署へ提出
税務署で確定申告書を受け付ける期間は、毎年2月15日~3月15日。2019年の確定申告は、2020年2月15日~3月15日の間に必要書類を揃えて提出します。提出方法は、直接窓口で手渡す、もしくは郵送から選べます。郵送の場合には、返送用の封筒も必要になります。

コワーキングスペースの利用料の経費処理について
コワーキングスペースを利用している場合は、基本的には「賃借料」もしくは「地代家賃」として扱えば問題はないようです。オフィスの形態は様々で、「完全個室を借りている」「開放的空間で固定デスクを借りている」「オプションサービスの付いていない個室」など。完全個室であれば、基本的に「地代家賃」として計上するのが妥当です。シェア空間で固定デスクを利用していているなら、「賃借料」に該当します。また、業者を利用せず、フリーランス同士で賃貸オフィスやマンションを借り、共同で家賃を支払う場合には、賃貸契約として考え、「地代家賃」として扱えます。
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