損しない!フリーランスが知っておくべき税金の知識と節税対策
税金周りのことを会社に丸投げできる会社員とは違い、自分で税金を払う必要があるフリーランス。とはいえ、「税金のことが全くわからない……!」なんて頭を抱えている人も少なくないのでは?
今回は、フリーランスになったら最低限知っておきたい税金の種類や経費、控除などの知識と節税対策について紹介します!
※本記事は、2019年5月時点のものです。最新情報については、国税庁HPをご確認ください。
フリーランスが支払う税金の種類
まずは、フリーランスが払う必要がある税金について整理しておきましょう。
フリーランスが払う税金は、次の4つに分類することができます。
- ①所得税
- ②住民税
- ③事業税
- ④消費税
それぞれ順番に見ていきましょう。
①所得税
1つ目は、1年の間に稼いだ所得に対してかかる所得税。
累進課税制度により、所得が高ければ高いほど税金を多く払う仕組みになっています。そこで、「1年の自分の所得がいくらだったのか」を計算して報告するのが確定申告です。
納付期限は、翌年の3月15日までです。
②住民税
2つ目は、自分が住んでいる都道府県と市町村に対して払う住民税。
これは、所得に対して税率が決まっており、原則10%の税金を払うこととなっています。住民税の金額は、確定申告の内容をもとに自治体が計算し、それぞれに通知を送付することになっています。
納付期限は、翌年の6月・8月・10月、翌翌年の1月の4回払いです。
③事業税
3つ目は、職種によって所得にかかることになる事業税。
税率は職種によって0%(免除)〜5%と大きく変わります。
ちなみに、事業税がかからない業種としては下記が挙げられます。
もしフリーランスのライターであれば事業税は0%とかかりませんが、ウェブデザイナーなどのデザイン業や、コンサルタント業の場合は5%の税率が適用されます。
納付期限は、翌年8月・11月の2回払いです。
④消費税
4つ目は、消費税です。
消費税は、売上が1,000万円以上の場合にかかるもの。もし売上が1,000万円を超えなければ、特に意識しなくても大丈夫です。
納付期限は、翌年3月31日までです。
フリーランスなら知っておきたい「経費と控除」
経費とは?
経費とは、事業で収入を得るためにかかる出費のこと。
所得税は、収入から経費と青色申告特別控除などを引いた額にかかります。そのため、仕事のためにかかった経費はきちんと計上することが大切!日頃から経費を記録する手間はかかりますが、その分税金がかかる所得額を減らすことで、節税対策ができるのです。
領収証やレシートを集めるとお得な理由は?
「フリーランスになったら、とにかく領収証やレシートをとっておいた方がいい!」と聞いたことがある人は少なくないのでは?
この「領収証をとっておく」というのも、しっかり経費計算をするために必要な作業なのです。
経費の例としては、カフェで打ち合わせをしたときのコーヒー代を「交際費(または会議費など)」、移動するのにかかった電車賃を「交通費」などとして計上可能です。
経費とプライベート費用の線引きは?
節税のための経費計算で気をつけたいのが、経費とプライベートな支出(私費)の線引き。
節税になるからといろいろな出費を経費扱いにしたくなるかもしれませんが、プライベートでの出費を経費に計上するのはNGです。
もし税金を過少申告したことが税務調査で発覚すれば、加算税を課せられることになります。特に、売り上げを不当に少なく見せるなどして脱税をしようとした場合には、重加算税といって多額の追徴課税が求められることも……。
どんなものであれ「仕事と関係する」と自信を持って説明できるのであれば経費にした方がいいですが、不正な申告は絶対にやめましょう。
いくらかかる?所得税の計算方法
「フリーランスになったら、税金はいくらくらいかかる?」と疑問に感じている人も少なくないはず。確定申告をする前の基礎知識として、所得税の計算方法を知っておきましょう。
所得税は、次のような計算式で表すことができます。
所得税額 = 課税所得 × 適用税率 – 控除額
所得税の計算には、次のステップが必要となります。
①課税所得の計算式を知る
まずは、税金がかかる「課税所得の金額」を計算しましょう。課税所得は、次のように計算します。
課税所得 = 売上(収入) – 経費 – 控除
つまり、経費と控除を作ることで、税金がかかる額(課税所得)を減らせるということがわかりますね。
②売上・経費・控除を計上する
①の課税所得を出すためには、売上と経費、控除を計上する必要があります。
「売上」と「経費」については、会計ソフトなどを使ってできるだけこまめに記録し、確定申告前に焦らないよう準備しておくようにしましょう。
また、自分に当てはまる「控除」を知ることも大切です。
誰もが受けられる基礎控除をはじめ、社会保険料控除、扶養控除、配偶者控除など自分が該当する控除を調べてみましょう。
③表に当てはめて計算!
①②を通して課税所得がわかったら、あとは最初の計算式に当てはめるだけ!
所得税額 = 課税所得 × 適用税率 – 控除額
この計算式と、表の「税率」「控除額」を参考に計算してみましょう。
課税所得 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
※2019年5月時点。最新情報については、国税庁HPをご確認ください。
所得税シュミレーション(1)課税所得300万円の人の所得税は?
例えば、課税所得が300万円の人の所得税は、次のようになります。
300万 × 10% – 9万7,500円 = 202,500円
所得税シュミレーション(2)課税所得190万円の人の所得税は?
課税所得が190万円の人であれば、所得税は次のようになります。
190万 × 5% – 0円 = 95,000円
このように、計算式と表に当てはめれば簡単に計算することができます!
損をしない!フリーランスの節税対策
これだけは抑えておきたい、簡単な節税対策3つを紹介します。
フリーランスの節税対策① 経費を作る
何より簡単な節税対策は、経費をもれなく計上すること。
「仕事に関係している」と言える出費については、漏れなく計上するようにしましょう。
例えば、打ち合わせでカフェを利用したときの飲食代は「交際費」、セミナーなどの参加費は「研修費」、事業のために購入した書籍は「新聞図書費」となります。領収書やレシートはしっかり保存しておいてくださいね。
他にも、自宅で仕事をしている人は、仕事場として使用している面積などに応じて、全体の家賃の何分の一かを経費にすることができます。
賃貸事務所やレンタルオフィスをはじめ、シェアオフィスやコワーキングスペースの利用料も月極めなら「地代家賃」、ドロップインでの利用なら「会議費」などとして計上することができます。
フリーランスの節税対策② 控除を使う
控除を使うのも節税対策として有効です。
代表的なものとしては、配偶者がいるなら「配偶者控除」、子どもや親など16歳以上の扶養家族がいる場合には「扶養控除」があります。
また、健康保険などの「社会保険」も全額控除の対象です。会社員の保険は「健康保険」と「厚生年金」ですが、フリーランスが入れる保険は「国民健康保険」と「国民保険」。
これらは自分で手続きをする必要があるので、フリーランスになった際は忘れずに役所に届出をしましょう。
フリーランスの節税対策③ふるさと納税
最近はテレビCMでも見かけるようになった「ふるさと納税」。これも節税効果があります!
そもそも「ふるさと納税」とは、本来自分が住んでいる自治体に払う税金の一部を、応援したい自治体に「寄附」という形で納められるというもの。
寄附金は所得税・住民税の控除となるうえ、寄付した金額に応じてその地域の特産品・名産品が貰えるのがメリットとなっています。
ただし、収入や家族構成に応じて控除の上限額が決まっているので、必ずしも寄付すればするだけ得になるわけではありません。ふるさと納税サイトにある還付・控除限度額のシミュレーションを利用するなどして上限額を超えないよう寄付して、お得に返礼品をもらいましょう。
フリーランスになったら、税金対策を忘れずに!
会社員とは異なり、税金について自分で知識を得たり、手続きをする必要があることから、「やっぱり会社員に戻りたい…!」なんて感じる人もいるかもしれませんね。
もし税金周りの対策がどうしても煩わしく感じてしまったら、税理士に頼んで丸投げしてしまうのも一つの手ですよ。
面倒な手続きを自分でする手間はかかりますが、その分、自分の采配で仕事を受注できたり、節税ができるのはフリーランスならではの魅力。
フリーランスで損することなく、スムーズに仕事を進めるためにも、税金対策は忘れずにおこなってくださいね!