
ジャパンベンチャーリサーチの調査によると、2017年の未上場の国内ベンチャー企業資金調達額は、過去最高の2717億円で、前年より21.2%増加しました。創業期には、シェアオフィスやコワーキングスペースの利用も含め、資金を投資に回す場面も多いはず。事業を展開するために欠かせない起業時の資金調達方法16種を、メリット・デメリットを含めて解説します。
個人借入
1.消費者金融からの借入
個人の契約で消費者金融から借入できます。
メリット
・個人の信用で簡単に借入できる
デメリット
・10数%と金利が高い
2.親族・知人からの借入
親族や知人からの借入で事業を始めることもできます。
メリット
・金利や返済などの契約条件について融通が利く
デメリット
・親族や知人の経済状況により、急な返済を求められる場合もある
・個人間契約のため、関係のこじれやトラブルが生じる可能性
個人間で契約条件に融通の利く分、トラブルに転じる可能性もあります。
出資
3.自己資金
最も基本的な創業までに貯めた自己資金を使う方法です。
メリット
・経営権を自由に行使できる
・金利負担がない
デメリット
・事業に失敗すると、自己財産を失う
社員持株会
創業時に所属する社員が資本金を出資する方法です。規約が必須です。従業員持株会の組織化や理事の設置をしなければなりません。
メリット
・上場すれば大きな利益をもたらすため、社員のモチベーションにつながる
・株主の構成が安定する
・敵対買収への対策になる
デメリット
・株主が分散してしまう
・退職時に株を現金で買い取らなければならない
・会社の運営に支障が出る
5.他企業からの出資受入
自社の株式を他社に譲渡する代わりに、出資を受けられます。株式の譲渡比率が50%を超えた場合、事実上の経営権譲渡となります。
メリット
・株主の分散を防ぐ
・出資元企業の人的、技術的、営業的な協力を期待できる
デメリット
・出資元に経営権を握られ、起業家の経営権が弱まる
6.ベンチャーキャピタル(VC)
ベンチャーキャピタルは、成長率を見込んだ未上場のベンチャー企業に対して、株式を受け取る代わりに出資を行う投資ファンドです。
メリット
・起業家の過去の実績によらず、現在のビジネスアイデアを評価して投資を決める
・経営について相談できる
・事業の失敗による資金返済義務がない
デメリット
・事業の成果や成長を求められる
・起業家の保有する株比率が下がる
ベンチャーキャピタルは、そもそも出資金の返済を求めず、ベンチャー企業の上場による株式公開時に、株を売却してキャピタルゲインの取得を目的としています。そのため事業の成果や成長を求め、経営に口を出し、経営権の弱体化や経営リスクを招くこともあります。ベンチャーキャピタル、エンジェル投資家との関係性は重要なので、相手を慎重に選びましょう。
7.エンジェル投資家(個人投資家)
ベンチャーキャピタルの出資を個人で行っているのが、エンジェル投資家。個人間のやり取りとなるため、エンジェル投資家の人間性、関係性を重視すべきです。

融資
8.銀行
銀行から融資を受けます。銀行は、会社の信用を評価して融資を行います。特に大手銀行は、実績を持たない創業期の会社へ融資をほぼ実行しません。
メリット
・全国に支店を持つメガバンクであれば、便利
デメリット
・2%~9%の金利が発生
・創業間もない会社では審査に通りにくい
9.信用金庫
信用金庫は、銀行よりも融資のハードルは下がります。しかし、同様に創業期の融資は難しいため、「制度融資」の利用がおすすめ。制度融資は、信用保証協会からの信用保証を付けることで、信用金庫の借入をしやすくします。
メリット
・創業前に申込み可能
・全国に52の信用保証協会があるため、利用しやすい
・金利のみを支払う措置期間が長い
デメリット
・自治体によって条件が異なる
・支払利息以外に、信用保証協会に対する保証料の支払いが発生
・申込みから融資まで1ヶ月以上かかる
制度融資
10.日本政策金融公庫の公庫融資
日本政策金融公庫の国民生活事業の「新創業融資制度」で融資を受けられます。
メリット
・創業前でも申込み可能
・最大3,000万円の融資を無担保、無保証、連帯保証不要で受けられる
・申込みから融資の実行まで約1ヶ月間で受けられる
・日本政策金融公庫から融資を受けられれば、銀行からの融資を受けやすくなる
・国が起業家への出資に積極的
・自由に経営権を行使できる
デメリット
・自己資金要件で、融資希望額の10分の1を保有する必要がある
・信用情報のキズで融資を受けられないこともある
・1~3%程度の金利が発生
11.日本政策金融公庫のマル経融資
「小規模事業者経営改善資金」とも呼ばれます。商工会議所や商工会の推薦で、日本政策金融から融資を受けられます。
メリット
・金利が1.21%と低い(平成31年度4月1日時点)
・最大2,000万円の融資を無担保、無保証、連帯保証不要で受けられる
デメリット
・創業後1年の経過を必要とする
(参考: マル経融資(小規模事業者経営改善資金)|日本政策金融公庫 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/kaizen_m.html)
補助金・助成金
12.創業支援等事業者補助金
経済産業省関連の補助金です。上限金額は、2,000万円。書類審査及び採択審査会での事業プレゼンを通過しなければなりません。
メリット
・創業前後で申込み可能
・返済不要
デメリット
・申込期間を設けている
・補助金は後払い
・補助率は補助対象経費の4分の3以内
・補助対象経費の種類が限定的
(参考: 平成31年度「創業支援等事業者補助金(広域的な創業支援モデル事業)」の補助事業者の募集を開始します|中小企業庁https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki/2019/190328sougyoumodel.htm)
13.再就職手当
行政が、雇用保険の受給資格者に対して支払う手当のこと。再就職には、創業も含まれます。
メリット
・退職日から原則1年以内の創業であれば、申請のタイミングは自由
・支給条件を満たせば、手当を受け取れる
デメリット
・創業日から1ヶ月以内に支給申請書を郵送しなければならない
・「自己都合」による退職であれば、待機期間満了して1ヶ月経った後で起業しなければ支給条件を満たせない
・受給まで2~3ヶ月かかる
その他
14.ファクタリング
未回収の「売掛金」をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、資金を受け取れます。企業間では、基本的に現金ではなく掛け売りでの取引を行っています。売掛金は、商品やサービスの提供後、請求書を発行してから入金されるまでの期間にあるお金です。
メリット
・資金調達が容易
・担保が不要
・基本的に信用情報へ影響しない
デメリット
・手数料がかかる
・債権譲渡登記を求められる場合も
債権譲渡登記は、ファクタリング会社が売掛金の受取権利を有していることを公的に証明するために、必要となります。登記時に、会社のファクタリング利用を一般に公表することになるため、取引会社との信用関係に注意が必要です。
15.ビジネスコンテスト
政府や民間が主催するビジネスコンテストへ出場して、評価を受ければ、賞金を得られるだけでなく、その後の資金調達で有利に働きます。
メリット
・入賞賞金を得られる
・他の資金調達での審査時に有利に働く可能性
デメリット
・起業家のプレゼン能力を問われる
・事業計画の質を問われる
16.クラウドファンディング
一般の個人から資金調達する方法です。新商品やサービス、事業のローンチのために、支援を募り、見返りとして支援金額に応じたリターンを提供します。主に商品購入型や寄付型、投資型のクラウドファンディングがあります。商品購入型では、支援する代わりに販売する商品を提供する形を取ります。寄付型では、基本的に支援者が見返りを求めません。社会貢献性の強い、慈善事業、ボランティア活動などに適します。投資型では、見返りとして株式を提供しています。
メリット
・利用条件がない(信用情報や事業経験など)
・事業開始前から企業広告にもつながる
・利息がかからない
デメリット
・期間内に目標金額へ達しない可能性もある
・目標金額達成時に手数料が発生
・申込みから入金まで半年近くかかる
(参考: クラウドファンディングのメリットとデメリット|佐藤修一公認会計士事務所 https://satoscpa.com/crowdfunding)
まとめ
16種の資金調達方法には、それぞれにメリット・デメリットが存在します。起業家の状況に合う最適な資金調達方法を選びましょう。シェアオフィスやコワーキングスペースの利用を含め、今後の事業展開のために資金を投下してはいかがでしょうか。
(参考: 【保存版】起業の資金調達方法メリット・デメリット総まとめ|創業手帳 https://sogyotecho.jp/finance/)
(参考: 起業に使える資金調達方法|創業手帳 https://sogyotecho.jp/funding-phase-startup/)

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